仏留学中の僕のフランス語能力の推移の様子をセキララに記録します(1ヶ月目〜3ヶ月目)

仏留学中の僕のフランス語能力の推移の様子をセキララに記録します(1ヶ月目〜3ヶ月目)DSC_2675フランス、エクスアンプロヴァンスに8月末に交換留学としてやってきて3ヶ月少々経ったところなので、おそらくそれなりに需要があるだろうと思しき(?)僕のフランス語能力の推移について纏めておきます。

というのも、ある一定の年令に達してから新たな言語を習得する場合における習得メカニズムについて記された論文や記事などは無数に存在していますが、どれもこれも主張として説得力を持つために一般化されすぎてしまっていて「僕はもっと各々がどういう推移のもと言語を習得してってるのか気になるよ!各個人の経験に基づいた体系的な具体例が知りたいよ!」と僕自身が渇望していたことがあったからです。なのでここは赤裸々に僕自身の推移について話そうかと思います。僕はフランスに来年の夏まで滞在している予定なので、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月と定期的やっていけたらいいな。ちなみに写真はバルザックの’Le médecin dans le campagne’です。

留学前の仏語レベル

僕の通っていた高校はすこし特殊でして、1年生の頭から3年間第二外国語を学びます。フランス語を1年生より学習。僕の場合は文系で仏語が好きだったため自由選択で取っていたというのもあって、3年次は週に計7コマもフランス語に関する授業を受講しておりました。従って文法などの基礎の基礎は高校の間中に修了していた(はずだった)。のわりに、クラスメイトは大学に入ってから初心者クラスを取って落第する者も多数いるなど、どれほど進歩があったかというと疑問符が頭に浮かびます(苦い笑い)。

授業外でも、一応語学部仏語班なるものが部活として存在し、3年次にはメンバー3人だけだったものの所属(4回くらいしか定期活動にはいってない)。仏語スケッチコンクール、大使館プレゼンなど微妙にイベントでフランス語を使う機会はあったことはあった。文章が若いので非常に恥ずかしいのですが、2年前の高校3年次に書いたブログ記事がありましたので一応貼っておきます(『フランス語尽くし』)。

大学に入ってからは第二外国語が免除になり、正直かなりフランス語からは離れる。ディスカッションなどの授業を受講したりしてアカデミックかつプラクティカルな仏語にはすこし慣れたような気もしていたものの、大学の言語パートナー的なフランス人の友人との会話ではかなり問題を抱えていたように思う。単語を辛うじて繋げてどうにか意思疎通する、みたいな。内容によっては仏語で説明できないことも多数。

それでも2年の7月、出国する前にフランス語検定2級は取得しました。まったく勉強ができなかったというのもあって、筆記は合格点ギリギリ。ただ面接は、簡単な質問をいくつかされ受け答えしていただけなのになぜかほぼ満点ではあったけど。それ以外は、もっと出国前にちゃんと勉強したかったのですが、その他のことでいろいろと忙しく、また怠慢も相俟ってほとんど触れることがないまま日本を出国。

留学開始

1ヶ月目

初めてフランスに到着。まず空港のアナウンスがぜんぜん聞き取れない。辛うじて単語がいくつか拾えるくらい。TGVのチケットを買うのも、話すのが早すぎて何を言っているのかよく判らないまま適当に頷いていたらば買えた。浮浪者から何か話しかけられるもよくわからず。大学寮について仏語で手続きをしようと試みるも「何言ってるかわからん」と一蹴され、泣く泣く英語で説明。と、これまで4年くらい細々と勉強していた仏語は役に立たず散々な到着初日である、と思いきや、その日の夜に大学寮でひとりイタリア人の友人ができ、彼とは仏語でそれなりに意思疎通ができたので一安心。

それからすでに繋がりのあったフランス人などとも会ったりしたけど、かなり大変だったなあ。そもそも表現の幅が狭いというか、簡単なことを表現したくても適切な表現が見つからないというもどかしさを常に抱えていた。逆に、他者が発しているのをきくと「ああ、なるほど」と思って理解はできることは多いんだけど。

英語を学習していたときも、おそらく日本語もそうなのだけど、やはり最適な習得方法は「他者の表現を盗む」ということですね。ネイティヴが使っているのを耳にし、頭の中で反芻し、隙があれば次の機会に自分で使ってみる。もちろん活字でのインプットも然り。この繰り返しだよなあ、とヒシヒシ。ちなみにすべてを盗もうと思ってもそれは不可能なので、自分のなかで適度に優先度を下すといいますか。聞いていてなるほど!と思う表現があったりするので、そういうのは積極的に。その取捨選択はかなり感覚的なものなので何とも言えません、強いていうなら頻度だとか、言語の響きだとか、自らの表現したい事象とうまい具合に繋がりが見えた時、といいますか。

そしてそのためには極力対象言語を使う環境に自らを置くこと。それは当たり前すぎるのだけれど、意外としんどい。というわけで、最初の1〜2週間などは学校でできた友人たちと英語で話したりもしていたけど、それからは英語しか喋らない留学生の方々とは少々距離を置き(そもそも英語レベルも大したことがないので、彼らの間に居ても余り楽しめなかった)、「英語が話せない仏語で喋るキャラ」になることに努める。それから、フランス人の友人をなるべくたくさんつくりました。

授業も2週目あたりから始まる。1つ英語の授業を覗き仏語。留学生向けの授業は授業にもよるけれど、語学クラスだったら理解度は9割以上あったのでわりと楽にいけました。ただフランス人もいる通常授業はぜんぜん訳がわからんかったなあ。せいぜい10%くらいの理解、配布テキストを読みながら何となく検討を理解してゆく程度なのだけど、まったく知らない分野だったらそんな芸当できないし、果たしてそんな方法に学びは存在するのか、と疑問に思ったりもしたが、とりあえずそれどころじゃない。

1ヶ月目も後半に入り、到着初日よりも遥かにフランス語が出てきやすくなったし、まずそもそも話すことに尻込みしなくなったという成果が見えてきた一方で、フランス語でしばらく話していると頭が本当に疲れていて、体力もかなり消費してしまっているので、1日中フランス語の環境に身を置くのはかなりしんどかった。フランス人の友人などと遊んでいても、途中で疲れてしまって全部から力なく笑ってやり過ごすという無気力コミュニケーション。

2ヶ月目

2ヶ月目はとりわけ「あれ、意外とできるようになってね?やるじゃん!」という時期と「ああぜんぜんダメだ死のう」という時期を交互に繰り返していました。行きつけのカフェ的なものができ、週3・4回通い店長と仲良くなり、そこでいろんなひとと喋ったりなど、意識的に話す機会を設ける。一対一のコミュニケーションだと、人に依るものの(たぶん気を使ってゆっくり話してくれていたりした場合)それなりにストレスなく意思疎通ができるようになってきたかなあ、という実感もあった。が、やはりフランス人複数名の会話についていくのは依然としてかなり厳しい。長時間フランス語を喋ったあとだと頭もやっぱり疲れます。

雑誌や本などの活字にも定期的に触れていた、読む能力に関してはよく判らないな。実際ある程度基礎があれば、大枠を理解するだけならば単語の問題というのが大きいので…。活字を追っているときにわからない単語に出会うたびにいちいち辞書で調べているとノイズになってしまうので、よほど文脈内で大事っぽい単語以外はそんなに辞書も使わないようにしたりはしていたけれど、それでも辞書、このころは手放せなかったかなあ、と思います。

2ヶ月目も初月に続いて20本くらい劇場で映画を観ていたのですが、内容に依るところも大きいけれど、英語音声仏語字幕なんかだと8割9割方理解、他言語仏語字幕だと本当に内容に依るが時々追えない、仏語音声だとかなり厳しくストーリー理解でやっと、ってところでしょうか。

1週間、2週間のスランプ期もあったものの、それを抜けたときは「お」と思うくらいに上達を実感したこともあった。ただ何よりも、「自身のフランス語能力について」がほぼ毎日自らの思考の中心を占めていたというのが何とも貧しく、はやくこの状況から抜け出したいなあ、と常々考えておりました。「語学はツールであってコンテンツではない」という使い古されたフレーズがございますが、「なので言葉は重要じゃない」なんてことは言えないなというのを改めて咀嚼。海外で暮らしその社会に自身を接合しようとするならば、言葉というのは接合を開始するための基盤となるツールなわけであって。いくらコンテンツがあろうが伝達ができなければ意味がない。だから「いまはその言葉を集中的に習得する時期なんだ…」ということを盲目的に信じ込むことでその貧しさとどうにか蹴りを付けていました。貧しい…。

3ヶ月目

日本人学生たちと意図的に距離を置くなどして、日本語を発声する日がかなり減ったように思う。フランス語も、使ってても頭が疲れないようになってきてわりと馴染んできた感覚。表現の幅も広がって、たぶん到着初日の僕自身を指差して嘲笑えるくらいには上達したんじゃないでしょうか。上達というより「慣れ」という感覚のほうが強いのかもしれないけれど。辞書が手放せるようにもなってきた。フランス語で夢を見はじめたのもこのときだったかしらん。

3ヶ月目後半は、かなり仲のいい友人等ができまして、そうした人たちとずっと一緒にいたのもあって、飛躍的な上達を実感。複数名でもテーマによってはそれなりに会話に着いていける、ようになった気がするし、街中で話されているフランス語も自然と耳に飛び込んで理解できるようになってきました。それでもわからんものはわからんけれど。

それからこの月には数日間、学校のひとたちでバルセロナに旅行にいったのですが、フランス外にいるときくらいは英語で話そうと思いまして、このときは積極的に英語を話しておりました。ただ英語を話そうとするたびにフランス語の単語が頭に浮かび、ああヤバいこれもしかしてフランス語のほうが喋れんじゃない?と思ったものの、ただスイッチが入ってなかっただけでそんなことはなかったです。一回スイッチが入ってからは英語のほうが自然に口から出てきます。取り敢えずまずはフランス語に集中しますが、ゆくゆくはこのスイッチの切り替えの早さも課題になってくるんだろうなあ。

ただこのツイートのように、言語習得におけるまた新しい悩みの種が。フランス語で極力思考を試みていて、生活する分にはそんなに問題ないしその成果もあったように思うのですが、どうしても思考のレベルの大幅な低下が否めず、それが大きなストレスに。「思索に耽る」行為の質が圧倒的に下がっているので、日常のなかの内的な知的発見・昂奮みたいなのがかなり減った。

対人コミュニケーションにおいても、日本語であれば言葉の使い方などで「知性」を顕示することはできるが、フランス語だとそのレベルにない。果たして日本語での「知性」とは本当にその価値のある知性だったのだろうか、知性と言葉って不可避だけれど1:1の相関関係にはないよなあ、などということも考えたりもしました。ただ、おそらく僕の場合は「思考する」という行為においてかなり言葉が重要で、頭の回転がそんなに早くないので、口語よりもこうして書く行為などを通じて言葉をゆっくりと自分のペースで積み上げていっていくやり方のほうが自分にあっていました。したがって、フランス語の場合だと、とりわけ複雑なことを表現する際にはまだ文法など「正しい使い方」が頭の中を占領し、会話のなかでイデアを考える(それはユーモアを凝らす表現なども含めて)ということまでキャパシティが足りておりません。

「母国語と後天的に習得した外国語、同じレベルで思考できるのか?」という問いを第二言語を流暢に話せる何人かにしたところ、「不可能だが、それは仕方ないことだ」という反応も返ってきた一方で「インプットがその言語で行なわれている分野であればむしろ母国語よりも考えることができる」という尤もらしい答えも頂いた。まったくシステムの異なる二言語で同じレベルで思考することができたら、異なるロジックを用いたアプローチで思索ができそうですごいことになりそうですね。そんな日が来るのかしら。そこまで習得する必要は少なくともいまはないということを承知しつつ。

取り敢えず3ヶ月経ったいまは、「なんだかんだ単語じゃね?」というところに回帰してきました。確かに文脈から想定することは可能、可能なんだけど、それでも単語がわからないと会話でも活字でも躓くので…。英語でもそうなんだけど、単語力の不足というのが結構深刻で(単語帳をつくったりなど真面目な座学をほとんどやってこなかった)ここは開き直って机と向き合うベーシックな方法でやりますかね。

というわけで

留学前から、留学開始3ヶ月までの言語能力の推移やらその時々に考えたことなどをざっと纏めてみました。だいぶ内容を切り捨てて簡単に書いていたつもりが、いつものように十分な長文に。それだけ「フランス語」自体がこの3ヶ月で思考の中心にあったことがわかりますね。というわけで、次はまた3ヶ月後、報告できるかわかりませんがこれからも研鑽を続けたいと思います。何か質問などもあったらぜひ。

お暇な方はちょうどうでもいいフランス語についてのことを前に書いたのでこちらの記事もお読みくださいませ(『フランス語は英語より美しい(スペースが最高)』)。


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1 Comments

  1. りな

    相談です。
    私は今フランスの高校に留学しているのですが、私のフランス語レベルはとても低いので友達はみんな英語で話しかけてくるんです。なかなか理解できないだろうけどフランス語で話しかけて欲しいのに私をみると思考回路が英語に切り替わるみたいで、、、。
    フランスにきて2週間ちょっとですが生活はほとんど英語になってしまっています。どうしたらいいですか?
    それとこのブログは役に立ちました^ ^

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