美術

「ニキ・ド・サンファル展」―― わたしたちの中に眠る〈連続性〉を祝祭するべく踊る女たち

「ニキ・ド・サンファル展」―― わたしたちの中に眠る〈連続性〉を祝祭するべく踊る女たち

ニキ・ド・サンファル展に行った。友人が熱烈にお勧めしていたので、会期ギリギリに新国立美術館に滑り込む。会期中最後の日曜日なのもあってか、けっこうな混雑を見せている。老若男女問わず、というかむしろ若いひとたちが比較的多かったのが印象的だった。教養が足りないので、ニキ・ド・サンファルというアーティストの存在について、僕はこの展覧会について知る以前は認識していなかったのだが(のちほど会場で「20世紀においてアンディ・ウォーホルと比肩するくらい有名な芸術家」という文章を見て、自分の浅学を恥じたのはいうまでもない)、なぜかふと六本木駅から向かっている途中に、パリのポンピドゥー・センターの近くの広場(スト…

「英国の夢 ラファエル前派展」――饒舌な物語、リアルのなかのロマンス

「英国の夢 ラファエル前派展」――饒舌な物語、リアルのなかのロマンス

「リバプール国立美術館所蔵――英国の夢 ラファエル前派展」にいってきました。Bunkamura ザ・ミュージアムにて。映画や演劇を観にBunkamuraに足を踏み入れるたびに思うのだけれど、この場所にいるひとたちは、渋谷の路上でのたまう烏合の衆の大半とは、明らかに異なる階層に属している。Bunkamuraに集う上品な身なりをした妙齢の紳士淑女が、すぐ隣にあるドン・キホーテのスウェットとクロックススタイルのヤンキーと同種の生きものである、という紛れもない事実に、どこか反発を覚えている自分がいることを告白しなければらならない。   さておき、「ラファエル前派展」。ラファエル前派の作品をま…

奈義町現代美術館、快と不快のあいだで

奈義町現代美術館、快と不快のあいだで

何気なく雑誌のページをぱらぱらと繰っていたら、岡山県奈義町に現代美術館があるということを知った。奈義町は、毎夏帰省している田舎から車を10分も走らせれば着いてしまうちいさな隣町で、親戚も住んでいるため何度か訪れたことがある(国道53号線!)。それにもかかわらず、そのページにたまたま目を落とすまでは、そんな近場に高名な現代美術館があるとは思いも寄らなかったのだ。灯台下暗しというやつである。 今夏もちょうどいま2年ぶりに帰省しているので、母と親戚の挨拶がてら現代美術館をめざし奈義町へ向かった。奈義町には自衛隊の日本原駐屯地があり、道程、大きな駐屯地の門構えのむこうに空軍のヘリコプターが見えて少々興…

美を欲望するということ。Marguerite Kelsey、5月、倫敦

美を欲望するということ。Marguerite Kelsey、5月、倫敦

「この絵を僕のものにしたい」とはじめて切望したのは、ロンドンのテート・モダンでMeredith Framptonによる“Marguerite Kelsey” (1928)のポートレイトを目にしたときだった。閉館まであまり時間がない中、美術館の膨大なコレクションをなるたけ多く目にしてやろうという魂胆でわりかし急ぎ足で館内を回っていたのだが、この絵を視た瞬間に足が止まった。それからしばらく、この絵から——あるいは、この絵に描かれたMarguerite Kelseyから——目が離せなくなってしまったのである。 いまでもこの絵をこうして見るたびに美しいと思わずため息を吐いてしまうのだが、なぜとりわけこ…

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