雑感

雑記( October, 2015 )

雑記( October, 2015 )

十月。 いよいよTシャツで過ごすのが困難になり、冬物のコートをどうしようかと考える時季になった。十月も終わりに差し掛かると冬の到来をひしひしと感じる。風呂場から出たときの寒いこと寒いこと。そして、ベランダに設置された椅子に腰掛け、煙草をふかしながら読書をするという僕にとっての最高の時間が、気温の低下にともなって失われつつあることに危惧している。じつは日本で冬を迎えるのは三年ぶりになるので(しかも過去の二年は南仏とアフリカにいたので、寒さ耐性をほぼ失っている)、どうなることやらといまから心配だ。なにごともなく生き延びれるといいけれど。はやくコートを買おう。   十月から友人たちがのさば…

雑記( August, 2015 )

雑記( August, 2015 )

二年ぶりに東京で迎えた夏は、早くも終りつつある。すでに秋の風が吹いている(どちらかというと台風の風というほうがふさわしいかもしれない)。八月の頭の連日のうだるような暑さにはほんとうに辟易とし、そのなかをゆくリクルートスーツに身を包んだ就活生を見るたびに戦慄していたのだが、いざその夏が終わりかけてみるとやはりどこかに一抹の寂寥が残る。先日の呑みの席で先輩から「春夏秋冬のうち、夏だけが終わる」と言われて膝を叩きまくったのだが、はたして夏というのはいったい何なのだろうか。考えてみると、ほかの季節に比べても、夏を代理表象するかのようなものごとはこの世にあふれている。花火、浴衣、海、プール、BBQ……あ…

1年間の海外留学を終えて——フランスで諸諸と出合ったことについて

1年間の海外留学を終えて——フランスで諸諸と出合ったことについて

かつての僕はなにを思っていただろうと思いを巡らすとき、ブログというメディアがあるのは非常に便利だ。日記もつけているので、もちろんそちらも参照することは多々あるのだが、ブログの記事という形である程度まとまった思考にいつでも立ち返ることができるのは間違いなくブログのひとつのすぐれた点と言っていいだろう。読み返しながらその内容に恥ずかしくなって死にたくなることがほとんどだが(ほんの一日前に投稿したそれに対してもしばしば起こる)、たまにだけれど意外といいこと書いているじゃないかと自身で驚くこともある。そういう思考の軌跡がひとつの人目に曝されている場所にログとして残っていってしまうというのは残酷な話では…

雨が降り頻る八月のパリで

雨が降り頻る八月のパリで

これほど雨が降り続けていた8月のパリも珍しいのではないかと思う。多くのパリジャンはバカンスに旅立ち、代わりに観光客で溢れかえっている。不幸ながらにして残ることになったパリジャンは、その寒さのあまり秋冬用のコートを押し入れの奥から取り出して、嬉々としてパリを訪れている観光客たちも同様にブティックでセーターなどを買っているようだ。そんな8月のパリに、僕は観光客としてでもなく、かといってパリジャンでもなく、ほんのつかの間の滞在者としてフランス生活最後の1ヶ月を締めくろうとしていた。 とくになにもしなかった1ヶ月だった。凱旋門にもエッフェル塔にもモンパルナスタワーにも登っていないし、ノードルダム大聖堂…

「未だ想像もできないものへの憧憬」、だれかのことばにドキリとすること
  • 2014/10/11

「未だ想像もできないものへの憧憬」、だれかのことばにドキリとすること

あなたをドキリとさせることばはどこからでもやってくる。友人が放ったさりげないひと言かもしれないし、ツイッターのタイムラインの海に漂っているひとつのツイートかもしれない。もしくは街角に貼られた広告のキャッチコピーかもしれないし、ラジオで流れてきた名前も知らないミュージシャンが歌う詞の一部かもしれない。そういうことばたちはいつも突然勝手にあなたの前に現れて、なんの許可もなしに頭の中を占拠してしまう。そのなかにはあるいは刺のようなものが潜んでいて、あなたのことをじわりと傷つけてゆくかもしれない。けれどもいくら取り除こうとしても、それはしばらくそこに居座って動こうとしないのだ。ただ、ドキリとさせられる…

21歳、異国で泥にまみれながら

21歳、異国で泥にまみれながら

腰を上げて、汗を拭い、辺りを見渡そうとするとふいに立ち眩みに襲われた。すこしして取り戻した視界の先には、ただただ広大な土地があって、数百数千と残っているキャベツの芽がケースに積まれている。僕はいま、異国の地、フランスのプロヴァンスでひとり、だだっ広い畑でひたすらにキャベツの芽を植えている。終わりの見えない単純作業に気が遠くなりながら、泥にまみれた腕で汗を拭う。 立ち上がってぼうっとしているとさなか、ふいに自身の身体を自覚した。燦々と照りつける太陽の日差しを受け、地中海からやってきただろう南風に吹かれて、農作業で泥だらけの自分自身の身体が、ここにしっかりとある。奇妙な感覚だ。左手をすこし挙げて、…

PAGE TOP ↑