フランス 2013 – 2014

1年間の海外留学を終えて——フランスで諸諸と出合ったことについて

1年間の海外留学を終えて——フランスで諸諸と出合ったことについて

かつての僕はなにを思っていただろうと思いを巡らすとき、ブログというメディアがあるのは非常に便利だ。日記もつけているので、もちろんそちらも参照することは多々あるのだが、ブログの記事という形である程度まとまった思考にいつでも立ち返ることができるのは間違いなくブログのひとつのすぐれた点と言っていいだろう。読み返しながらその内容に恥ずかしくなって死にたくなることがほとんどだが(ほんの一日前に投稿したそれに対してもしばしば起こる)、たまにだけれど意外といいこと書いているじゃないかと自身で驚くこともある。そういう思考の軌跡がひとつの人目に曝されている場所にログとして残っていってしまうというのは残酷な話では…

美を欲望するということ。Marguerite Kelsey、5月、倫敦

美を欲望するということ。Marguerite Kelsey、5月、倫敦

「この絵を僕のものにしたい」とはじめて切望したのは、ロンドンのテート・モダンでMeredith Framptonによる“Marguerite Kelsey” (1928)のポートレイトを目にしたときだった。閉館まであまり時間がない中、美術館の膨大なコレクションをなるたけ多く目にしてやろうという魂胆でわりかし急ぎ足で館内を回っていたのだが、この絵を視た瞬間に足が止まった。それからしばらく、この絵から——あるいは、この絵に描かれたMarguerite Kelseyから——目が離せなくなってしまったのである。 いまでもこの絵をこうして見るたびに美しいと思わずため息を吐いてしまうのだが、なぜとりわけこ…

(一般人のための)カンヌ映画祭サバイバルマニュアル

(一般人のための)カンヌ映画祭サバイバルマニュアル

67回カンヌ国際映画祭、一般人だけれどフラリと行ってきた。せっかくカンヌのちかくに住んでいるので、世界一の映画祭に行かないわけがないと思っていたものの、直前まであまり調べずにいたところ「果たして(お金のない)一般人でも参加可能なのかしら」「招待されるようなニンゲンじゃないとまったく映画見れないんじゃないの」という疑問も渦巻く次第。というか、そう思っているひとがフランス人でも非常に多い。 結論から言えば、”Oui et Non” (Yes and No)。詳しいカンヌ映画祭の説明に関しては、丁寧に説明している記事(『カンヌ国際映画祭開幕。「カンヌ」とはいったい何なのか』)…

雨が降り頻る八月のパリで

雨が降り頻る八月のパリで

これほど雨が降り続けていた8月のパリも珍しいのではないかと思う。多くのパリジャンはバカンスに旅立ち、代わりに観光客で溢れかえっている。不幸ながらにして残ることになったパリジャンは、その寒さのあまり秋冬用のコートを押し入れの奥から取り出して、嬉々としてパリを訪れている観光客たちも同様にブティックでセーターなどを買っているようだ。そんな8月のパリに、僕は観光客としてでもなく、かといってパリジャンでもなく、ほんのつかの間の滞在者としてフランス生活最後の1ヶ月を締めくろうとしていた。 とくになにもしなかった1ヶ月だった。凱旋門にもエッフェル塔にもモンパルナスタワーにも登っていないし、ノードルダム大聖堂…

21歳、異国で泥にまみれながら

21歳、異国で泥にまみれながら

腰を上げて、汗を拭い、辺りを見渡そうとするとふいに立ち眩みに襲われた。すこしして取り戻した視界の先には、ただただ広大な土地があって、数百数千と残っているキャベツの芽がケースに積まれている。僕はいま、異国の地、フランスのプロヴァンスでひとり、だだっ広い畑でひたすらにキャベツの芽を植えている。終わりの見えない単純作業に気が遠くなりながら、泥にまみれた腕で汗を拭う。 立ち上がってぼうっとしているとさなか、ふいに自身の身体を自覚した。燦々と照りつける太陽の日差しを受け、地中海からやってきただろう南風に吹かれて、農作業で泥だらけの自分自身の身体が、ここにしっかりとある。奇妙な感覚だ。左手をすこし挙げて、…

仏留学中の僕のフランス語能力の推移の様子をセキララに記録します(4ヶ月目)

仏留学中の僕のフランス語能力の推移の様子をセキララに記録します(4ヶ月目)

フランス、エクスアンプロヴァンスに8月末に交換留学としてやってきて、ヒイヒイといいながらフランス語の修得をどうにか試みるプロセスを纏めるシリーズ。少々間が空いてしまいましたが、今回はメモっていた4ヶ月目の様子を公開。これ以前の留学前のレベル、1ヶ月〜3ヶ月目の推移についてはこちらをご参照ください。(写真はフランス人なら誰しもが読んだことあるであろう、Jacques Prévertの”Paroles”より”Barbara”。プレヴェールの詩のなかで僕の好きな詩のひとつ。) 4ヶ月目(2013年12月) さて、4ヶ月目。「なんだかんだ語彙じゃねーの」…

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