豊かさを手にした旅の末に
  • 2014/03/31

豊かさを手にした旅の末に

なぜかその日曜日はとても朝早くに目覚めた。特に予定もなかったけれど衣服を着替え、カメラを掴んで家を出る。ぼんやりとしながら駅へと足を運び、まだひともまばらな上りの電車に乗り込んで、都心へと向かった。当てもなく水道橋あたりで下車し、あれこれと思索に耽りながらやわらかな日差しのなかを歩いていると、スポーツ紙を広げているマスターのほかには誰もいない寂れたカフェに行き着いた。陽が届く窓際の席に腰掛けて、読みかけの文庫本を片手に、熱いコーヒーを体のなかへと流し込む。 なんて豊かなんだろう、と思った。その瞬間が、愛しくてたまらなかった。そして同時に、かつてこれに似た豊かさを感じたことを思い出す。 — 17…

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