21歳、異国で泥にまみれながら

21歳、異国で泥にまみれながら

腰を上げて、汗を拭い、辺りを見渡そうとするとふいに立ち眩みに襲われた。すこしして取り戻した視界の先には、ただただ広大な土地があって、数百数千と残っているキャベツの芽がケースに積まれている。僕はいま、異国の地、フランスのプロヴァンスでひとり、だだっ広い畑でひたすらにキャベツの芽を植えている。終わりの見えない単純作業に気が遠くなりながら、泥にまみれた腕で汗を拭う。 立ち上がってぼうっとしているとさなか、ふいに自身の身体を自覚した。燦々と照りつける太陽の日差しを受け、地中海からやってきただろう南風に吹かれて、農作業で泥だらけの自分自身の身体が、ここにしっかりとある。奇妙な感覚だ。左手をすこし挙げて、…

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